top of page
検索

令和7年10月改正!マンション標準管理規約(単棟型)の主要ポイント徹底解説(令和8年4月1日施行改正区分所有法反映)

  • 執筆者の写真: 山崎清博
    山崎清博
  • 11月6日
  • 読了時間: 5分

マンション管理組合の皆様、区分所有者の皆様、今回のブログでは、令和8年4月1日に施行される改正区分所有法を反映した、「令和7年改正 マンション標準管理規約(単棟型)」の主要な変更点について、詳細にご紹介します 。

この度の改正は、長年の課題であった所有者不明者や管理不全への対策を強化するとともに、管理組合の意思決定の円滑化を図るための、非常に重要なアップデートとなっています。是非、最後までお読みください。

--------------------------------------------------------------------------------

Ⅰ.所有者不明・管理不全対策(理事会権限の強化)

法改正に伴い、管理組合が所有者不明や管理不全の専有部分に対して、より迅速かつ適切に対応するための手続きが明確化されました 。

1. 所在不明者の総会除外(第67条の3新設) 所在等が不明な区分所有者を総会決議から除外するための手続きが明確化されました 。理事会の決議を経て裁判所に請求できる手続きが定められており、意思決定の円滑化を図ることができます。

2.所有者不明専有部分の管理(第67条の4新設) 所有者不明専有部分の管理命令を裁判所に請求する際、理事会の決議が必要となります。これにより、管理費滞納といった問題に管理組合として組織的に対処することが可能となります。

3.管理不全専有部分の管理(第67条の5新設) 悪質な居住環境維持不全に対処するため、管理不全専有部分の管理命令を裁判所に請求する際も、理事会の決議が必要と定められました。

--------------------------------------------------------------------------------

Ⅱ.総会運営の適正化

総会の成立要件や決議要件が変更され、管理組合の意思決定のあり方が見直されました。

4.総会成立の定足数変更(第47条第1項) 総会の成立要件が、「議決権総数の半数以上」から、**「議決権総数の過半数」**に出席要件が変更されました。

5.特別決議の定足数追加(第47条第3項) 規約改正など(特別多数決議)を行う際の定足数に、新たに**「組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数」**の出席要件が追加されました。決議自体は、引き続き出席組合員・議決権の3/4以上で行います。

6.新たな特別決議(3/2決議)(第 47条第4項 新設) 特定の共用部分の変更(例:瑕疵の除去やバリアフリー化)について、出席者の3分の2以上の賛成による決議が可能となりました(定足数は過半数)。

7.総会招集通知の変更 総会招集時の通知事項として、全ての議案について「議案の要領」を示すことが必要になりました。また、緊急に総会を招集する際の通知の発送期間が、最短「5日間」から「1週間」に変更になっています 。

--------------------------------------------------------------------------------

Ⅲ.管理の実務的改善

より実効性のある管理運営を可能にするため、実務上の権限や用語の定義が明確化されました。

8.保険金等請求権の一元化(第24条の2新設) 共用部分等に関する保険金等の請求・受領権限が理事長に一元化されました。この代理権は、旧区分所有者に対しても及びます。ただし、訴訟追行に関しては理事会の決議事項とされています 。

9.緊急時の権限拡大(第23条第4項) 専有部分への緊急時の立入権限に加え、保存行為の実施(応急的な補修等)が可能であることが明記されました。

10.国内管理人制度の導入(第31条の3新設 他) 海外居住者などが選任した国内管理人が、総会での議決権行使の代理人となることができる制度が導入されました。これにより、非居住者への通知手続きも円滑化されます。

11.マンション再生等用語の変更(第28条第1項第4号) 従来の「建替え等」という用語が、法改正を反映し、建替え、更新、敷地売却、取壊し等を含む**「マンション再生等」**に変更されました。

--------------------------------------------------------------------------------

まとめ

今回の標準管理規約改正は、所有者不明問題や管理不全への対応力を高めるとともに、総会運営の柔軟化と実務の明確化を図る重要な転換点です。

背景には、マンションの高齢化・老朽化の進行と、区分所有者の高齢化・非居住化による意思決定の停滞という、全国的な課題があります。

さらに、令和8年4月施行の改正区分所有法では、第5条の2において「区分所有者の管理への協力義務」が明文化され、管理への主体的関与が法的にも求められるようになります。

管理組合としては、これらの改正を踏まえ、自組合の管理規約の見直しや、理事会・総会運営の実務整備を進めることが、マンションの価値維持と安心につながります。

--------------------------------------------------------------------------------

【解説の補足】今回の改正は、これまでの管理規約が「基本設計図」だったとすれば、緊急対応や複雑な事態に備える「実務ツールキット」が加わったようなものです。

所有者不明や管理不全といった“想定外”に対して、管理組合が法的根拠を持って対応できる仕組みが整備されたことで、理事会の責任と裁量も明確化されました。

背景には、全国で進むマンションの高齢化・老朽化・空室化という構造的課題があり、これらに対応するためには、区分所有者一人ひとりが管理に参画する意識と仕組みが不可欠です。

今回の改正は、従来の標準管理規約の更新とは異なり、令和8年4月施行の区分所有法の大改正に伴う制度的な連動改訂であり、現行規約の見直しはすべてのマンション管理組合にとって避けて通れない課題となっています。

これからの管理組合運営では、理事会・総会の運営体制の再構築、マンション管理士・弁護士等専門家との連携、そして区分所有者への丁寧な説明と合意形成が、“管理の質”を左右する鍵となります。

ぜひこの機会に、改正の趣旨を正しく理解し、自組合の実情に即した対応を進めていきましょう。

 
 
 

コメント


bottom of page