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横領事件は他人事ではありません。「トロイカ管理」で大切な資産を守ろう!

  • 執筆者の写真: 山崎清博
    山崎清博
  • 4月12日
  • 読了時間: 6分

更新日:2 日前

近年、「令和のマンション管理費横領事件」と呼ばれるような、マンション管理組合の資金を巡る巨額の不正事件が後を絶ちません。2025年1月には、マンション管理会社「A社」の元課長が、担当していたマンション管理組合の修繕積立金約4700万円を着服したとして逮捕されました。同社では、総額9億円もの着服被害があったと公表されており、その深刻さが伺えます。


なぜマンション管理費の横領事件は繰り返されるのか?


「まさか自分のマンションでは…」と思われた方もいるかもしれません。しかし、週刊現代の記事では、マンション管理組合支援センターの某代表理事が指摘するように、「区分所有者である組合員がマンションの管理を『面倒くさいから』と、すべて管理会社や理事会任せにしていることが根本原因」であると言われています 。


本来、マンションは区分所有者全員の大切な資産です。その管理を他人任せにするのではなく、住民同士が主体的に関わり、管理費の使途をチェックすることが不正の抑止力となります。しかし現実には、理事のなり手不足や総会の出席者不足などが多くのマンションで課題となっており、管理組合の自治機能が十分に働いていないケースが少なくありません。あなたのマンションは大丈夫でしょうか。


管理会社に運営を委託しているマンションは全国で9割以上にのぼりますが、管理会社の社員による不正は後を絶ちません。マンション管理コンサルタントのA氏は、「着服等の不正を防ぐためにも、少なくとも通帳の残高確認は住民たちで定期的に行ってほしい」と提言しています。しかし、管理会社が作成する報告書を鵜呑みにしてしまい、通帳原本の確認を怠っている場合や、デジタル通帳が導入されておらず、住民が手軽に状況を把握できないケースも多いのではないでしょうか。


過去には、管理会社の担当者が「消せるボールペン」で伝票の金額を書き換え、不正に資金を引き出すといった手口で住民を欺く事件が報告されています。また、住民が主体となって管理していたマンションでも、理事長が約11億7800万円もの管理費を着服するという、巨額の横領をした「リゾートマンション着服事件」のような事例も存在します。これは、管理を特定の人に任せきりにし、適切なチェック体制が整っていなかったことが原因と言えるでしょう。


管理組合の新たな選択肢:「専門家が参画する三者運営:トロイカ管理」


このような状況を打破し、大切なマンションの資産を守るための新しい選択肢として、私は従来の理事会と管理会社で行っていた組合運営に、マンション管理士が参画する「トロイカ管理」を提案します。マンション管理の専門家であるマンション管理士が組合運営に参画することで、三者それぞれの強みを活かし、相互の弱点を補完し、お互いをチェック・監視する体制が整います。この方式で、より健全で透明性の高いマンション管理が実現できるようになるでしょう。

例えば、三脚のカメラを考えてみてください。三本の足がバランスよく支え合い安定することで、大切な瞬間をしっかり捉えることができます。同じように、理事会・管理会社・マンション管理士の三者が互いに支え合うことで、マンション管理の安定と信頼性が生まれます。


トロイカ管理のメリット


1.横領等、不正行為の防止: 第三者であるマンション管理士が加わることで、管理会社や理事長による不正行為を牽制しやすくなります。「第三者の目」と「監事機能の強化」により、不正が起きにくい管理体制を構築できます。


2.管理品質の向上: 専門家であるマンション管理士が管理に参画することで、専門的な知識や経験に基づいた適切なアドバイスや指導が期待できます。そして、理事会、管理会社、マンション管理士が連携することで、住民の安心と信頼を支える最善の体制が構築されます。


3.役員のなり手不足問題の解消: 顧問ではなく、マンション管理士を副理事長などの役職の外部役員として理事会に取り込むこともできます。専門家が理事会の構成員になりますので、理事の負担軽減になりますし、1名分ですが、役員のなり手不足問題の解消にも繋がります。また、理事会では、専門家が参画することにより、より多角的な視点で、法的根拠のある、国のマンション政策に沿った透明性の高い議論が期待できます。


今から始める意識改革


もちろん、このトロイカ管理方式を導入するには、外部専門家採用コストが必要となります。しかし、大切な資産であるマンションの管理を強化し、なお且つ不正のリスクを減らすための必要経費と考えるべきではないでしょうか。大切な住環境を守るために、今行動を起こすことで、安心で信頼できる未来を築きましょう。


まずは、今すぐ理事会で資金管理の不安を話し合い、「トロイカ管理」の導入を提案したり、管理体制の現状を見直してみることから始めませんか?


残念ながら、これほど事件が起きていても、国がこのような理想的な管理方式を法的に定める動きは今のところありません。マンションは社会資産という議論が起きています。マンションの管理不全は社会の負の資産になりかねません。だからこそ、私たちマンション管理士は、このような情報発信を通じて、マンション管理の現状に対する問題意識を高め、マンションをいつまでも健全に運営するための、新しい管理方式の必要性を広く訴えていく必要があるのです。

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このブログを読んだ皆様が、ご自身のマンションの管理体制について改めて考え、より主体的に管理に関わっていくきっかけとなれば幸いです。そして、安心して暮らせる住環境を目指し、共に健全な管理体制を築いていきましょう!



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過去の事件例1:「令和のマンション管理費横領事件」

2025年1月、大手管理会社「A社」の元課長が、担当していたマンション管理組合の修繕積立金約4700万円を着服したとして逮捕されました。同社では総額9億円もの着服被害が確認されており、業界全体に衝撃を与えました。


過去の事件例2:「リゾートマンション着服事件」

住民が主体的に管理していたマンションでも、理事長が約11億7800万円もの管理費を着服する事件が発生しました。この事件では、管理を特定の人に任せきりにし、適切なチェック体制が整っていなかったことが原因とされています。


過去の事件例3:「管理会社B社事件」

2012年、社内検査でフロント担当者が架空の工事請求や小口現金等を着服し、6つの管理組合から総額290万円を不正に取得していたことが発覚しました。さらに、管理員が備品購入の際に私的流用を行うなど、37万円分の不正も確認されています。


過去の事件例4:「管理会社C社事件」

2002年から2007年にかけて、管理職の社員が担当する5つの管理組合から376万円を着服しました。手口は、新築マンションの備品購入費として仮払いを受けた後に領収書なしの会計処理を行ったり、架空の防災用備品購入を名目に理事長印を借り受けて資金を横領するなど、多岐にわたります。




 
 
 

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