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管理組合の悩み①役員のなり手不足を解決するには

執筆者の写真: 山崎清博山崎清博

更新日:2023年6月6日

それでは、マンション管理組合が抱えている悩みや問題についてお話ししたいと思います。


世の中のマンションは、住人の高齢化と建物の老朽化という2つの課題に直面していると言われています。ここではさらにマンション管理に関わる問題点3つを加えて、5つの問題とします。これらの問題についてひとつずつ順番に説明していきます。どれをとっても今後の管理組合の存続にかかわる深刻な問題ばかりです。


まず最初に、「理事会の役員のなり手不足」という問題についてお話しします。

これは住人の高齢化と住人のマンション管理に対する関心の低さが生んだ問題です。今までマンション管理組合の役員となり、組合員を代表して管理組合をけん引してきた意識の高いベテラン層の皆さんが、高齢化に伴う意欲や体力の減退、病気や入院、認知症などの要因から次々と引退の時期を迎えています。マンションの住人もまた高齢化が進んでいます。つまり、築年数の経ったマンションでは役員候補となる人材そのものが減ってきているのです。これは今後一層加速していくでしょう。


さらに管理組合にとって問題なのが、後続の人材が手が挙がらないことです。理事をやってもいいが重い役職は勘弁という考え方や、理事に選任されるのは構わないが出席はしないという態度の組合員が増えてきています。マンション管理に関心を持たない理由は人それぞれ様々ですが、資産価値を守るといった意識の高い住人が減ってきているように感じます。これは社会や個人の変化かもしれませんが、管理組合活動の広報不足が原因かもしれません。また、理事を経験した結果、奉仕に近い活動に疲れを感じたり、難しい会話ばかりで無力感や疎外感を感じたりして、理事就任を敬遠している様子も見られます。


管理組合の組合員は区分所有者の義務ですが、役員は義務ではなく、周りの選任で決まり、理事の互選が原則です。多くの管理組合が理事の輪番制を取り入れていますが、実際には理事を強制することはできず、輪番ルールが崩壊しているマンションも少なくありません。しかし、現実の問題として、マンション管理に無関心な住人が増えているという事実は、管理組合の存続にかかわる問題であり、放置できない深刻な問題なのです。


3番目には外部転出オーナーの増加が挙げられます。特に都心のマンションでは、転勤などの理由で所有する部屋を賃貸に出すオーナーが増えています。彼らは距離の問題や規約の制約などで、管理組合の運営に関与できずにいます。都心部のマンションでは、居住者のうち2割から3割が外部オーナーというマンションもあります。このような外部オーナーの増加も、役員のなり手不足の大きな原因となっています。


以上が「理事役員のなり手不足」問題についての背景です。多くのマンションで、理事役員のなり手不足の問題が進行しており、理事会の運営に支障を与えています。この問題が管理組合の存続の危機に直結していること、ご理解いただけたでしょうか。


管理組合がコストの削減に励むのも大事ですが、マンションと管理組合の持続性(Sustainable)を考えることがもっと重要です。管理組合の使命と言っていいでしょう。

管理組合においては、これらの問題を粘り強く一つずつ解決していくことが求められています。


まず、マンション組合員の意識向上と役員の後継者育成に向けて、適切な対策や啓発活動を行うことが重要です。例えば、組合活動の重要性や組合員の責任を周知するための広報活動や情報提供を行いましょう。組合活動の成果や重要な事項を定期的に報告し、組合員の関心を高める努力をしましょう。また、役員になることへの意欲を引き出すために、役員の経験談や活動の魅力を共有する場を設けることも有効です。


外部オーナーとのコミュニケーションや関与を促進することも重要です。外部オーナーが組合運営に参画することで、役員のなり手不足の問題を少しでも緩和する可能性があります。外部オーナーに対して、組合活動への参加や情報提供の重要性を説明し、関与を呼びかけましょう。外部オーナーに対しては、オンラインや郵送を活用した情報提供を考慮しましょう。オンライン説明会や交流イベントを開催したりして、彼らとのコミュニケーションを深めて、意識の共有化を図ることが有効です。


さらに、理事や役員の負担軽減策を構築することも重要です。理事や役員の任期や業務範囲を見直し、負担を均等に分散することを考えましょう。

次に知識や経験不足を補う体制をつくりましょう。例えば、専門的な知識や経験を持つ外部の専門家をアドバイザーとして組織に参加させることで、役員の負担を軽減することができます。また、過去の理事長経験者で構成する理事会運営をサポートする適切な委員会や作業グループを設置するのも良いでしょう。このような施策で役員の負担を軽減するとともに、今後起こる困難に対して対応可能な強靭な体質に変えていきましょう。


さらに、組合の運営プロセスを透明性のあるものにすることも重要です。組合員に対して、組合の財務状況や重要な決定事項などの情報を適切に開示し、組合の運営に対する信頼を築きましょう。組合の運営において透明性が確保されていれば、組合員はより積極的に参加し、組合の存続に寄与することが期待できます。


最後に、組合の存続に向けた長期的な計画や戦略を策定しましょう。組合の将来を見据え、建物の老朽化や高齢化といった課題に対応するための施策を考える必要があります。長期的な資金計画や修繕計画、高齢者支援の取り組みなど、組合の存続を支えるための具体的な戦略を策定し、実行に移すことが重要です。


以上の対策を総合的に実施することで、理事役員のなり手不足や組合の存続に関わる問題に対処することができます。組合員の意識向上や後継者の育成、外部オーナーとの関係強化、専門家の活用、参加意識の高揚、透明性の確保、長期的な計画策定など、継続的な努力と取り組みが求められます。組合の存続を目指すためには、組合員全体の協力と理解が不可欠です。


先送りしてはいけません。今すぐ取り掛かりましょう。


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