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  • 執筆者の写真山崎清博

管理組合の悩み②修繕修繕積立金不足の考察

更新日:2023年7月1日

いま多くのマンション管理組合が、修繕積立金が足りないという問題に直面しています。この問題は、直接的、間接的な原因がありますが、解決策を見つけることは可能です。その原因と解決策について考察してみます。

【直接的原因】

修繕計画の不備 修繕積立金は、将来の修繕費用に備えるために積み立てられるものです。しかし、修繕計画が不備であったり、修繕の必要性が見落とされている場合、必要な額を積み立てることができず、不足してしまいます。

  1. 適切な積立額を決定できていない  修繕積立金は、適切な額を積み立てることが重要です。積立額が少なすぎると、修繕に必要な費用を賄うことができず、逆に積立額が多すぎると、管理費用が高騰して住民の負担が大きくなります。適切な額を決定することができていない場合、修繕積立金が不足してしまいます。

  2. 管理組合の運営不備  管理組合の運営に問題がある場合、修繕積立金が不足することがあります。たとえば、あってはならないことですが管理組合が不適切な会計処理を行っていたり、修繕計画を作成していなかったりする場合、必要な費用を積み立てることができず、不足してしまいます。

  3. 住民の高齢化 このような場合、特に高齢者が多いマンションでは問題が深刻です。高齢者は年金収入だけで生活していることが多く、管理費や修繕積立金の値上げに反対する傾向があります。高齢者はマンションを売却する予定がないことも多く、資産価値を保つために必要な修繕工事に対しても関心が低いことがあります。その結果、マンション全体の老朽化や劣化が進み、資産価値が下落する恐れがあります。


【間接的原因】

  1. 住民の無関心  住民が管理組合に積極的に参加しない場合、修繕計画や積立額の決定が難航することがあります。また、修繕計画の必要性を理解していない住民がいる場合、積立額を減らしたいという意見が出ることがあります。これらの要因が重なると、修繕積立金が不足することがあります。

  2. 長期間にわたる修繕費用の積み立て  修繕積立金は、将来の修繕費用に備えるために積み立てられます。しかし、修繕計画が長期化してしまうと、修繕費用の額が大きくなることがあります。そのため、積立額を増やす必要が出てきますが、住民からの反対意見が出ることがあります。その結果、必要な額を積み立てることができず、修繕積立金が不足することがあります。

  3. 自然災害や老朽化による修繕費用の急増  自然災害や老朽化によって、修繕費用が急増することがあります。これらの事象が予想される場合、修繕計画を見直し、積立額を増やす必要があります。しかし、住民からの反対意見が出ることがあります。そのため、必要な額を積み立てることができず、修繕積立金が不足することがあります。


【解決策】

  1. 修繕計画の作成と適切な積立額の決定  まず、修繕計画を作成し、必要な修繕費用を詳細に把握することが重要です。また、適切な積立額を決定することも重要です。これらを行うことで、修繕積立金を不足させることがなくなります。

  2. 管理組合の運営の改善  管理組合の運営に問題がある場合は、改善する必要があります。たとえば、適切な会計処理を行うことや、住民の意見を取り入れることが必要です。また、透明性を高めることで、住民の信頼を得ることができます。

  3. 住民への啓発  住民に対して、修繕計画の必要性や、積立額の重要性を啓発することも重要です。また、積極的に管理組合に参加することで、修繕計画の作成や積立額の決定に貢献することができます。

  4. 高齢者への説得 修繕積立金が不足して適切な修繕ができなかった場合、マンション全体の老朽化や劣化が急速に進み、資産価値が急落し本来相続や施設入居に予定した売却が叶わなくなる恐れがあることを理解して貰うことが大事です。リバースモーゲージやリースバック、民事(家庭)信託などの選択肢を専門家に説明して貰うのも手段です。資産価値を守るには修繕が必須であると説得してください。住人の人生にまで関わることですので、マンション全体で考えるといった姿勢が大事です。

  5. 長期計画の策定  修繕計画は、長期的な視野で策定することが必要です。将来の修繕費用に備えるために、計画を定期的に見直し、必要な場合は積立額を増やすことが大切です。

  6. 予算外修繕費用の調達  修繕積立金が不足してしまった場合は、予算外修繕費用の調達を考えることも必要です。たとえば、住民からの寄付や、銀行からの融資を受けることができます。ただし、これらの方法は長期的な解決策ではなく、あくまで一時的な手段にすぎません。


【まとめ】

修繕積立金が足りないという問題は、直接的、間接的な原因がありますが、諦めなければ解決策を見つけることができます。修繕計画の作成と適切な積立額の決定、管理組合の運営の改善、住民への啓発、長期計画の策定、予算外修繕費用の調達など、様々な方法があります。これらを粘り強くひとつひとつ実践することで、資産価値を守るという合意形成を作り上げることができます。そして、最終的には積立金額を変更し、修繕積立金が足りないという事態を回避することができます。また、この問題に直面することで、区分所有者全員がマンション管理の重要性について改めて考えることができます。マンション管理の問題は管理組合の透明性と住民との問題共有を進めることによって、はじめて安心して快適に暮らす住環境を創ることができるとも言えるのです。



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