近年、企業における定年延長の動きが進んでいます。しかし、この動きはマンション管理組合の役員のなり手不足問題を深刻化させ、加速させる結果となっています。かつては60歳の定年後に退職を迎え、何もしないよりは管理組合の役に立ちたいという理由で管理組合の役員や理事長を務める人材が一定数いましたが、現在はそうではありません。労働人口の減少でシニアの就労機会が増えています。65歳を過ぎての雇用延長も多く、今では70代になっても就労日数を減らしながら現役で働いている人々が多くいます。これらのシニア達は老いても立派な社会貢献を続けていると言って良いでしょう。しかしながら、これはボランティアが前提のマンション管理組合にとっては深刻な現象です。役員のなり手が居なくなっています。まさに、マンション管理組合の存続が脅かされているのです。
この問題の解決は、社会構造の変化に起因しているだけに簡単なものではありません。
解決策として、以下のようなアイデアを挙げておきます。
マンション住民の参加意識向上
マンション住民に対して、管理組合の活動や役員の重要性について定期的に情報を提供し、参加意識を向上させます。住民の関心や要望に応えることで、役員の役割がより意義深くなり、参加意欲が高まることが期待できます。
若者の参加
若者層の参加促進:若い世代に対して、管理組合の役員や理事長になることの意義やメリットをアピールします。特に、若者にとって魅力的な活動や関心のある分野と組み合わせた新しい役職や委員会を設けることで、参加意欲を高めることができます。
役員資格の緩和
多くの管理組合で役員の資格を「現に居住する組合員」と規約で定めています。これを「組合員のうちから」あるいは「現に居住する組合員の配偶者」「現に居住する成年者である一親等の親族」とすることで、管理組合役員になれる範囲を広げてなり手不足を解消することができます。
外部専門家取り込み
役員や理事長が直面する問題や課題に対して、専門知識を持った人々の助言や支援を受けることでマンション管理組合の役員の負担を軽減し、なり手不足を解消することができます。専門家に役員教育をしてもらい、組合全体のレベルアップを図ることも大事です。
報酬制度
役員の労働に対し報酬を支払うことで管理組合の業務を仕事化します。役員に報酬を支払っている管理組合は既に全国で約3割程度。参加意識・出席率の改善、モチベーションの改善など、一定の成果が報告されています。
デジタル化とオンラインツールの活用
業務の効率化や役員間のコミュニケーションを改善するために、デジタル化とオンラインツールの活用を進めます。例えば、オンライン会議ツールを利用した役員会議や業務管理システムの導入など、時間や場所の制約を軽減することができます。
これらの解決策を組み合わせることで、マンション管理組合の役員のなり手不足問題を解決し、管理組合の活性化を図ることができるでしょう。
マンション管理組合存続の危機と捉えて取り組んでください。
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